すでにNHK教育テレビ「ETV2000」や講談社Friday、新聞などで報道されていますが、小樽で平沢貞通氏が描いたと思われる春画が見つかりました。今後の再審請求に大きな影響があると思われるこの発見を平沢武彦氏がレポートしています。
![]() 小樽で平沢貞通氏のものと思われる春画の巻物を見る平沢武彦氏。 撮影:加藤雅昭 |
![]() 12ヶ月の春画の1月の風景画。梅と日の出が描かれているが、平沢貞通氏の画風に酷似している。 撮影:加藤雅昭 |
小樽で平沢が描いたと思われる春画の巻物が発見。それは12ヶ月の浮世絵の模写、一枚目の正月の絵は、梅と日の出が描かれたものだが、私はその絵に注目、画風から平沢の絵に酷似していた。
裁判で、平沢に疑惑が向けられたのは事件後に10万円の出所不明の金を所持していたことだった。裁判官、検事は「春画を描いたことはないか?」と平沢に尋問したが、かたくなに否定。だが、死刑確定から約8年後「実は秘画12ヶ月を描いた金です」と私の父(※1)に告白している。
小樽の親族は、終戦後に平沢がよく春画を描いていた事実を認めている。また、横浜でも平沢の春画4枚が見つかっている(※2)。
今後、美術研究家に鑑定を依頼。平沢の春画であることが判明した場合、判決認定の「生活に困窮し大量強盗殺人を起こした」という犯行動機が崩れ、出所不明の金の問題にも波及。
長い歳月、謎とされていた平沢の春画に、今、光が当てられようとしている。それは21世紀に判断がなされる死後再審に多大な影響を与えることになるだろう。
2000年6月11日 平沢武彦
※1 平沢武彦氏の実の父、初代「平沢貞通氏を救う会」事務局長、作家・森川哲郎氏
※2 東京新聞2000年5月24日(水)朝刊、「こちら特報部」で報道