札幌と苫小牧での取材のため初冬の北海道へやって来た。いつものように、太平洋から苫小牧市勇払の上空から千歳空港への着陸態勢に入った。
飛行機右側の眼下に広がるのは通称「苫東」、正確には苫小牧東部大規模工業基地という国家プロジェクト。本来であれば写真に写っている場所、勇払原野には一大コンビナートが広がっているはずだった。現実はごらんの通り……。1700億円もかけたのに破綻した。何だかんだと言いながら結局は税金で穴埋めされるに違いない。
ここに国会を誘致しようという話があった。日・米・露・EUによる国際熱核融合実験炉(ITER)誘致の話があったのだが、いつのまにか立ち消えになっていた……。
しかしながらこのところ、ITERについての話題が地元の新聞をにぎわしている。誘致する会には北海道知事、経済連、地元苫小牧市長をはじめとする周辺首長などが名前を連ねている。
誘致が成功すると実験施設の建設で土建業者は潤い、研究者が大挙してやって来て人口17万人の苫小牧市は60万人を超える人口を抱えることになり、経済効果は計り知れないものになるという、まさに夢物語……。
で、反対を表明しているのは地元苫小牧市の組合関係と共産党と環境保護団体という破綻してしまった苫東と同じ図式……。
おいおい、21世紀が目前に迫っているというのに、いつまで20世紀型土建政治の幻影に取り付かれているんだい!24年前に鳴り物入りでスタートした苫東だってそんな夢物語を聞かされたじゃないか!
しかも今度は核施設……。原発ほど事故の危険性は少ないと言われているものの、恒久的にトリチウムという放射性物質を排出しつづけるんだよ!!
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